工程管理にみるRFID応用遠隔情報管理の進め方と運用課題

エフエイオープン

工程管理にみるRFID応用遠隔情報管理の進め方と運用課題

工程管理にみるRFID応用遠隔情報管理の進め方と運用課題

HOME > 工程管理にみるRFID応用遠隔情報管理の進め方と運用課題
spacer
環境への取り組みを加味した「リチウムイオン二次電池の活用」
計装 2009年1月号
リモート環境監視のためのセンサネットワークの活用
月刊誌「計装」
「現場の見える化」と
組み込みデータベース
オートメレビュー紙
「表示器の動向」タッチパネル表示器 誕生から20年を迎えて
オートメレビュー紙
課題解決 『設備投資、運用面においてTCOの削減』
オートメレビュー紙
無線LANを利用した『アナログデータ見える化』自動システム
オートメレビュー紙 4月18日掲載
制御・計装機器と組み込みデータベース
オートメレビュー紙
『ユーザが自らの手で道具を制作するCGE時代到来』
-コンシューマ・ジェネレーテッド・エンベデット-
Linux 情報端末 Algo Smart Panel にオラクル組み込みデータベース「Oracle Berkeley DB」登載
オートメレビュー紙 「組み込み DB」
「 Service on Network情報化時代のHMI機器と組み込みDB」
月刊誌「計装」8月号:
「工程管理にみるRFID応用遠隔情報管理の進め方と運用課題」
オートメレビュー紙
「日本の制御業界を救うインドのIT技術」−ウイプロ・リミテッド−
オートメレビュー紙
製造業の最新技術情報管理システム −情報セキュリティ管理のあり方−
オートメレビュー紙
「半導体製造装置における制御機器と情報管理」
オートメレビュー紙
「世界に拡がる企業の社会的責任とサプライア事業への影響」
オートメレビュー紙
実験から実用へ、
動き出したRFID31兆円市場
無線センサーネットワークによる「見える化工場」の実現

工程管理にみるRFID応用遠隔情報管理の進め方と運用課題
spacer
1.製造業の情報管理

製造業界においてベテラン社員の引退「2007年問題」を機に、技術情報管理の必要性が急速に増してきている。終戦後の高度経済成長初期の日本では、肉体労働関連の職種比率が全体の90%あり、知的情報産業はわずか10%に過ぎなかった。しかし現在の日本ではあらゆる職場で自動化が進み、知的情報産業と肉体労働比率が見事に逆転してしまった。いわゆる「生産現場の自動化」である。この傾向は2020年までに90%まで達する見込みと言われている。

製造現場の自動化に関して、技術的にはかなりの部分が実現可能だが、実際の運用となると、職人の匠の多くの知的財産が情報化されていないため、ナレッジマネージメントが構築できない状態にある。
製造業そのものが「物を加工する」時代から、「情報を加工する」時代へと変革し、グローバルな知的情報ネットワークが確立されると、物作りの中心が情報管理指導型となる。特に自動車産業では、納車後発生したリコールに対しての品質保証の原因追究に必要な、製造工程での履歴管理が重要になっている。

RFID技術の導入はバーコード、二次元バーコードに進化してきた情報読み取り機能も、三次元での読み取り、書き込双方向通信により、自動認識の技術水準を引き上げた。現場での素材、ツール、製品、生産設備、製造工程の管理を、作業者の視覚経験に頼っていた時代から、更に情報管理者の理想に近い情報を得る事を可能にしている。即ち製造現場の情報システム構築に必要な「物と情報を一体型」に出来る記憶媒体としての価値は、製造現場の情報化システム構築の際、費用対効果の点からも大変有効な手段として、採用するアプリケーションが増えてきた。


2.製造現場の情報ネットワーク

  製造現場の製造装置、搬送系のほとんどがPLCで制御されている。最近の制御器に求められている領域はPAC(Programmable Automation Controller)として現場の情報化の一翼を担う機能と成っている。問題は生産現場特有の設備ラインの変更と、製品が現場を移動する環境下での情報ネットワーク構築にある。
人間(作業者)と装置/製造ライン間で必要な人間の五感に値する部分はHMI機器の発達でかなり充実してきた。しかしホストコンピュータを中心とした情報システムを構築するには、工程毎に変化する製品の情報(加工に要した時間、時刻、工程上のロケーション、 加工条件、検査結果)などが必要である。ホスト側のアプリケーション、ERP,MES、SCADA,スケジューラなど、特に連続運転での少量多品種のASIC製品では、製品毎に情報を持たす事が重要である。製品毎の固有情報をホストに対し毎回問合せを行うシステムは、ネットワークのトラフィック及びデータサーバへの負担はもとより、ライン変えが日常茶飯事行われる製造現場では不向きである。現場のライン毎に情報管理し、必要な情報だけホストコンピュータとやり取りするのが好ましいシステムである。

 

3.RFID導入の基本的知識

■3−1 RFIDとバーコードの比較
RFIDは、タグ、ラベルIDなどが判読可能な点、バーコードといくつかの類似点が有るが、RFの重要な利点は、情報読み取り時の「視野方向」を要求しない事です。バーコードでは、レーザービームによって直接走査するので、製造現場のような油、粉塵、光源の不安定な環境下とか、読み取りの瞬間にレーザの視野方向を妨害する可能性があるアプリケーションでは、信頼性が低下する事が有る。叉最近の傾向としてレーザービームが、作業者の目に入ると健康上良くないとの結果で、国際空港のチケットの読み取り装置では既に使用が禁止されている。レーザービームの使用に制限が掛かると、現状では方法として画像処理が有効だが、視野方向の問題と費用面で採用しにくい。

■3−2 ホストコンピュータと入力/出力機能
タグから入手したデータを実用的に利用するには、データを処理するホストコンピュータか、タグデータに応答する何らかの出力機能を必要とする。多くの場合現場作業者の利便性を考慮し、ホストコンピュータと出力機能の両方がRFIDシステムの中で使用されます。システム構築で考慮すべき点は、RFIDの通信方式がシリアル通信のため、通信速度の点で高速の搬送システムでは、毎回ホストに問合せをしていると通信が間に合わなく成る事がある。システム構築の際は予め情報量と通信速度を考慮したシステム構築が求められる。

RFIDの周波数と特長
特性諸元 13.56MHz UHF(860-960) 2.45GHz
通信媒体(結合媒体) 磁界(相互誘導磁界) 電磁波(電波) 電磁波(電波)
返信方式 負荷変調 電磁波の反射 電磁波の反射
伝搬特性 磁界結合のための有効磁場は近傍界のみ 2.4GHzに比べて電波の回り込みによる通信ができる 800MHzに比べて更に直進性が顕著で、反射や物陰になった場合の通信が不利
空間伝搬損失と
電力搬送
磁界のため電波との比較は出来ないが、3.52m以内では減衰が激しい(3乗則)。λ/2π=3.52m 13.55MHz 2.4GHzに比べて1/9の減衰ですむため、同一電界強度を得る為の送信出力も1/9で済む。 800MHzの9倍の減衰を受けるため、同一電界強度を得るための送信出力は9倍が必要
通信距離(期待値)
(アンテナ1個、無電池)
1m以下(カードサイズのアンテナ) 2-6m(米国) 1m前後(現行電波法下)
マルチパスフェーシング
(デッドポイント多少)
ない 2.4GHzに比べて少ないため、通信のデッドポイントが生じにくい 800MHzに比べ大きいため、通信のデッドポイントが生じ易い
アンテナの種類 ループアンテナ(8の字の指向性)
ダイアポールアンテナ(8の字の指向性)質問器側に高利得アンテナ(指向性アンテナが可能) ダイアポールアンテナ(8の字の指向性)、パッチアンテナ、質問器側に高利得アンテナ(指向性アンテナ)が可能
アンテナの形状 巻き数とコンデンサ容量との組合わせで共撮をとるため小型のループアンテナが可能。但し通信距離は急速に落ちる。 波長に依存するので2.4Gの3倍の長さが必要。λ/2ダイアポールアンテナで約18p以下の長さ λ/2ダイアポールアンテナで約6p以下の長さで非常に小型になる(800MHzの1/3)
■3−3 RFIDシステムの構築での考慮点
RFIDシステムには、システムの基本設計の際、性能に影響する要因全て調整する必要がある。又システム導入時にも最適化のチューニングが必要である。

@ICタグの特長を理解する(ICタグの種類、取り付け位置)
Aリーダのアンテナ特長(ICタグとR/W機器は水平、垂直偏波を合わせる)
BICタグを取り付ける対象物(伝導性のないプラスティックやダンボールはRFのエネルギーを透過しやすいが、金属や導体はRF信号を遮断したり、反射したり拡散させる。液体はRF信号を吸収したり弱めたり、拡散させる)
C対象物の分類と操作(ICタグは整理して物体に付ける事と、対象物を取り扱う装置の特性を十分把握する事。例えばフォークリフト、ベルトコンベア、ローラーコンベアなどはそれぞれノイズ、電磁波、機械的振動、静電気の放電から来る影響を考慮する必要が有る。)
D システム設定は、リーダのファームウエアは基本動作のプログラムで、起動と終了、駆動時間、タグとデータなどを規定する命令。アプリケーション・ソフトウエアは、リーダの操作を実行する、制御用の命令である。
E環境条件としてのREIDは様々な温度、湿度、衝撃、振動に耐えられるように設計されている。
Fフィールド内のタグ数は、一度にリーダの内に入るタグ数は「タグ密度」と呼ばれますが、読み取り速度に限界があるため、許される処理時間との関係を考える必要がある。

 

4.導入事例(産業機械製品組み立てライン)のトレーサビリティ情報監視システム
■4−1システム概要
産業機械製品の組み立てラインでREIDシステムを導入した例を紹介する。
現場は「組み立てる機械製品」をローラーコンベア上のパレットに載せ、移動させながら16工程の作業を行うシステムからなる。

■4−2 システムの特長(導入前の問題点:現場からの要求)
@ライン変えが頻繁にあるので工程間にはネットワークを使用しない。
A工程ラインの入口出口のみホストコンピュータとの接続をするが、油や振動が多い環境下では情報と物(機械製品)と一体にして移動をさせたい。
B作業工程上高速処理が出来、経済的なRFID I/Fユニットを採用した。
C製造ラインの工程状況を正確に把握出来てないため、工程のボトルネックの発見が困難である。
D「製造ラインにおける工程進捗状況把握」が、工程に分岐・合流が複雑に入り組んでおり、ホストコンピュータで集中管理を行うのは負担が大きい。

■4−3 問題解決策:
@ RFIDシステムを利用して人・物・時間・製品・部品情報を詳細に収集。
A 加工製品を載せるパレットにICタグを取り付ける。
各工程の作業情報(加工情報・加工時間)を工程終了毎に、ICタグに書き込を行う。パレットは工程上の情報をもって移動する。作業工程中にはホスコンピュータとの交信を持たない。
4−4導入効果:
@ 各工程で作業時間・滞留時間を把握出来る為、ボトルネック工程が判り、工程改善を行える。
A 不良製品発生の要因特定の基礎情報が入手出来、工程へのフィードバックが容易になった。
B 製品の位置を簡単に追跡出来るので、正確な進捗管理や納期把握が可能。
C 工程中の全ての情報は最終段階でホストコンピュータへ転送する。

■4−5システムの動作:
@組み立てライン工程の入口で「組み立てる機械製品」のQRコードで書かれた製品番号を読み取り、パレットに埋められたICタグに製品番号を書き込む(工程が進むと汚れのためQRコードが解読不良となるため)。同時にホストコンピュータに対し、作業開始を伝える。
Aパレットが作業工程箇所に来ると、リーダがタグの認識番号(機械製品の種類)を読み取り、RFID I/Fを通してPLCに伝える。
BPLCはタグの認識番号に応じて予め要されたプログラムを選択し、作業を実施する。
C作業が終了するとPLCに記憶された(作業者名、作業開始時間、作業終了時間)など必要事項を、RFID I/Fユニットを通してICタグに書き込む。当然作業者はそれぞれの作業現場で、作業開始時に自身のIDを工程の装置に書き込む。
D一つの工程が終了するとパレットは次の工程へを移動する。
E工程最後に機械製品は検査工程に入る。検査で結果情報はタグに書き込まれる。
F全ての工程が終了するとリーダはICタグの情報を全て読み取り、ホストコンピュータに工程の結果情報として転送する。
G 用済みのパレットとICタグはリフレッシュされ回収後再利用される。

 

5.今後の展開へ向けた運用課題,開発方向,など

RFIDタグは、移動体に取り付けられ情報伝達が可能な点で携帯電話、価格面からの手軽さはバーコードと双方の良さを持ち備えている。米国では現在一個100円以上するタグの価格も、2006年には50円2007年には20円、その先5円で供給する計画が動き出した。後は我々が如何に使いこなすかだけである。

 

【記事】株式会社エフエイオープン
【代表取締役社長】 藤平 實(ふじひらみのる)
【お問合せ】お問合せはこちら

 

工程管理にみるRFID応用遠隔情報管理の進め方と運用課題