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環境への取り組みを加味した「リチウムイオン二次電池の活用」

環境への取り組みを加味した「リチウムイオン二次電池の活用」
―安全性、経済性、性能―

東日本大震災を機に蓄電地の普及が注目されている。電気自動車(EV・HEV・P-HEV)に代表され、太陽光発電、風力発電、地熱発電による再生エネルギー、特にHEMS関連での蓄電、電力消費のピークカット、従来からの携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ・ビデオ、携帯用音楽プレイヤーを始め幅広い電子・電気機器に搭載されている。FA業界では鉛に替わるリチウム電池の採用の検討が本格的に始まり、2010年にはLIB市場は1兆円規模に成長した。

日本市場

リチウムイオン電池はかつて日本メーカーのシェアが高く、9割以上を占めた時代もあった。三洋電機、三洋GSソフトエナジー、ソニー、パナソニック エナジー社、日立マクセル、NECトーキンなどが主なメーカーとして知られている。一方、韓国(サムスンSDI、LG 化学)、中国 (BYD)、台湾などで生産量が増えてきており、2010年には、それまでトップであった三洋電機がサムソンに抜かれ、日本メーカー合計のシェアも4割程度までに落ち込んでいる。

FA業界における二次電池の採用効果

◇ 導入メリットと課題解決
≪鉛二次電池課題からの置き替え≫
・大容量化:エネルギー密度の向上(30-50Wh/Kg)
・自己放電率の/月の減少(30%/月)
・安全性の向上(ガス発生の危険性)
・廃棄コストの削減(経費削減)
・長寿命化:3年毎の交換
・サイクル寿命の向上(400回)
・充電時間の短縮(8時間)

◇ 顧客が求める二次電池
FA業界に合ったリチウム二次電池とは従来の鉛電池の課題を解決し、経済効果を向上することで有る。一般産業機械に適した安全性、経済性、高性能を持った代表的な鉄系リチウムイオン電池は下記項目の特徴が有る。

≪酸化鉄リチウム電池の優位性 ≫
リン酸鉄リチウムイオン電池はリチウムイオン電池の一種である。正極材料にコバルトを使用する形式よりも資源的な制約が少なく、北米を中心に近年シェアを拡大している。代表的なメーカーはA123Systems、長園科技実業(CAEC)、China Sun Group、BYDである。リン酸鉄リチウムイオン電池では従来のリチウムイオン電池とは異なる特徴がある。競合するコバルト酸リチウムイオン電池と比較した場合、放電できる電流が多い。

1.高い重量エネルギー密度:
  137Wh/kg、鉛蓄電池の30-50Wh/kgより遥かに高い
2.ハイレート放電能力
  瞬間ハイレート放電30C、3~5C連続放電を維持可能
3.優れるサイクル寿命特性
  充放電サイクル2000回以上でも70%以上の電気容量を保つ 。5000回リサイクル循環使用可能
4.優れる安全特性
  リチウム電池の中で最も安全性優れ、鉛蓄電池と互換、共存可能
5.優れる環境特性
  材料はすべて無毒成分でRoHSに適応 。長サイクル寿命のため、廃棄物の低減に貢献できる
6.コストの優勢
  大量生産後、コストは鉛蓄電池の価格に近付く
7.材料入手安易性
  酸化鉄は地球上埋蔵量が最も多い
  ※ 1Cとは、電池容量(Ah)を1時間(1h)で割った値で、その電池から1時間取り出すことが出来る電流値です。

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リチウムイオン二次電池

◇ リチウムイオン二次電池とは
リチウムイオン二次電池とは、非水電解質二次電池の一種で、電解質中のリチウムイオンが電気伝導を担う二次電池である。現在では、正極にリチウム金属酸化物を用い、負極にグラファイトなどの炭素材を用いるものが主流となっている。

≪正極材料≫
リチウムイオン二次電池のコストは正極材料に使われる希少元素のコバルトがその7割を占めているが、近年、大幅な低コストを目指して正極材料にマンガン、ニッケル、リン酸鉄などを使うものが開発されつつある。

≪負極材料≫
現在主力の負極料グラファイトの放電特性は、放電初期から放電末期までは、なだらかな平坦に近い電圧での放電をし、放電末期に急激に電圧を降下させる。ハードカーボンの場合は放電終了電圧まで均一に電圧が降下していくという異なる特徴を持つ。グラファイトでは電圧変化が少ないため電池電圧から電池の容量を知ることは難しいが、放電末期まで比較的安定して高い電圧を保つ事が可能となる。

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製造工程

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正極電極は、アルミニウム箔の両面にコバルト酸リチウムなどの活物質溶液を塗布・ 乾燥した後、プレスして密度を上げ製作する。負極電極は銅箔に炭素材料などの溶液を塗布・乾燥した後、プレスして密度を上げ製作する。

電極材料は、長い帯状で製造される電極箔に対して横向きの縞状に間欠塗布され、 製品となる電池の大きさや形に合わせて裁断される。このうち、電極材料が塗布されていない部分は、電力を入出力するための接続端子(タブ)が溶接される部分になる。正極にはアルミタブ、負極にはニッケルタブが用いられる。

負極と正極の間にはイオンが移動できる多孔質の絶縁フィルムをはさみ、バウムクーヘンの様に正極と負極と絶縁フィルムが幾層にも重なるように巻く。
電池組み立て完成後、活性化工程で充電することにより電池を活性化させ、充電・放電・室温放置エージング・高温放置エージング等を何度か繰り返し、電池選別のスクリーニングを行い出荷に至る。

◇ 安全性と対策
リチウムイオン二次電池は金属リチウムを用いないため、リチウム二次電池より安全に充放電できるように設計されている。しかし、リチウムイオン二次電池の危険性は、エネルギー密度の高さの裏返しであり本質的な問題でもあるため、電池そのものにも周辺回路にも様々な安全対策が施されている。

◇ 保護回路 BMS
充電電圧の過充電制御は充電器だけでなく、電池パックにも制御回路を備えて管理している。また、過放電に対しては電池パック内の制御回路により、過放電状態にいたる前に出力を遮断する。

アプリケーション事例

◇ 首都高電気メンテナンス
・アイドリングを不要としたCo2と燃料費削減を実現
・標識車の無騒音化(沿道環境の保全対策)
・Co2削減(地球温暖化対策)
・軽油使用量削減(経費削減)

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◇ ゴルフ場カート
・ゴルフカートの稼働寿命が長くなる(車体への負担が軽減され、部品の消耗を低減できる。)
・バッテリーのサイクル寿命は鉛の2~3倍。
・メンテナンスフリー

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◇ UPS
・電力不安定化のリスクを回避、機器の安定稼働をサポート
・エコで安全な高性能酸化鉄リチウム電池内蔵
・大容量且つバッテリー交換不要のメンテナンスフリー
・工場やオフィス又は家庭用のパソコン、電器、照明などに非常用電源を供給
・キャリア付などでどこでも簡単に移動して即供給可能。

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まとめ

液晶、ソーラパネル、そして二次電池と日本産業の得意分野が海外勢に生産量で脅かされている。今後とも社会でのエネルギーとしての電気は、不可欠でありその重要性はますます高まる。しかし原発をはじめとして環境、コストなど多くの課題が山積になっている。電力を蓄えることが可能な電池、特に充放電が可能である二次電池の開発と展開は日本企業が海外競争力を付けるための重要なテーマになる。

【記事】株式会社エフエイオープン
【顧問】藤平 實(ふじひらみのる)