近年、企業の国際化に伴い、リモートエンジニアリング情報ネットワークは、「現場見える化」遂行の重要なファクターである。監視、装置、設備稼働状況データ解析、診断、メンテナンス、予知予防対策に必要なデータマイニングは、もはや企業生き残りの必須条件となっている。
更に過去の経験、知識を生産現場で役立たせる情報のデジタル化は、生産性の向上、品質向上、作業安全対策として各企業の共通課題である。その解決策としてのシステム構築は、急速なデータ量の増加に伴うプログラムの複雑化や、リアルタイムに現場の状況把握する手段として、組み込み向けデータベース導入が検討され始めている。
1. 自律分散システムの必要性
グローバルに広がる「現場の見える化」を実現するには、情報の集中処理型一辺倒から原始データを前処理(フィルタリング、演算処理、フォーマット変換等)し、情報として現場に格納する自律分散型情報ネットワークシステムが、信頼性向上で不可欠である。
LAN、WANを含めシステムの広域化には、セキュリティ管理とパケットロスのリスク管理が必要となる。現場のデータを出来るだけリアルタイムにハンドリングして、目的に合わせた形式にデコード処理する。その上、不要な情報を整理した形で持つことが、情報量を極限サイズにし、アクセススピードを上げる上で効果的である。
■ 製造業における情報制御システムへの要件
オープン/グローバルデファクトの低価格システムの段階的導入
グローバルスタンダードで最先端製品/生産技術をいち早く海外生産にも展開
市場変化への迅速な対応とリアルタイムな情報の加工が可能なデータベース
■ 自律分散型Service on Network実現の5つの要素
拡張容易性:稼動中システムを止めずに、ネットワーク改造、ノードの拡張可能
保守性:稼働システム上のノードの状態監視機能で、オンラインデータを用いたテストが可能
信頼性:部分故障が起きてもシステム全体は不停止、重要度に応じたノードの多重化が容易
接続性、汎用性:コントローラ、PC、WS、サーバを統一インタフェースで接続、流通ソフトや汎用コンポーネ ントの利用が可能
高性能:マスターの負荷集中を解消、ノード数が増えてもネットワーク負荷が増えない
2. 「現場の見える化」システムのデータベースのあり方
■ 組み込みデータベースの要件
ユビキタス社の組み込みデータベースDeviceSQLのデータ処理機能+データベース機能は、現場の各種組み込みシステムに特化し、ストリーム・ベースド・データ管理技術に基づく、まったく新しいカテゴリーのデータ管理ソフトウェアとして2002年に登場し、携帯電話、車載機器、IP-STB、通信機器などで広く採用実績を重ねている。今後、計測器、制御機器、HMI機器への搭載も例外ではない。
各種機器に対応出来るSQL:
DeviceSQLの現場での処理機能は、他の組込みRDBではカバーできない、ローエンドからハイエンドまでのすべての製品ラインをカバーし、問い合わせ言語である。SQL文を使用して機器内のデータを簡単に、しかも高速に問い合わせできる。
データのハンドラ機能:
さらにその前後のデータハンドリング機能では、フィルタリング、フォーマット変換等のデータ処理機能を提供する。その複数の機能を組み合わせてデータを制御、処理、そして管理することができる。これら機能により機器内のデータを革新的に取り扱い、新たな付加価値を創造することを可能にする。
データのクラスター
DeviceSQL は、超高速、コンパクトなストリームベースの DB エンジンをサポートし、機器に入力される様々なデータを ストリームデータの PL/SQL 処理が可能である。 C コールバック関数の連続処理により、 その属性に応じてインメモリあるいは FlashROM や HDD 等の永続ストレージに最適に格納可能である。また DeviceSQL 言語によりアプリケーションのコードとデータ管理のコードを完全に分離することができ、それぞれを並行開発でき、データの追加等の仕様変更にも柔軟に対応することが可能である。
各種OS、ハードウェアに対応
この組み込みデータベースはハードウェアやOSのプラットフォームを問わないことはもちろんのこと、すでに構築済みの膨大なソフトウェア資産を無駄にすることなく、その一部として共存して稼働し、最終的に最適で単純化されたシステムに移行することを可能にする。
■ 組み込みDBはどのようなDBか
ミッションクリティカル(24時間365日稼働)な高スループット、リアルタイム
レスポンス、低レイテンシ(データ読み出しの遅延)を実現する
マルチスレッド(マルチタスク処理)、リカバリ機能もサポートしている
小さいFootPrintで動作する。 (25 KB-)
OSに依存しない
In Memory、ディスクをはじめ、幅広いストレージの利用が可能
■ 組込データベースの特長
DeviceSQLは、今までに無いストリーム・ベースド・データ管理という新しいテクノロジーにより、組込み機器に対して、データ管理という側面から、パフォーマンスの向上、操作性の向上、さらにインテリジェンスを向上させ、組込み機器に新たな付加価値を提供する。また同時に開発の生産性、システムの品質の向上をもたらす。
今後日本の製造業が世界の市場で活躍するには、先輩たちの匠の技、知恵を世界標準化、デジタル化する組み込みデータベース技術が重要である。
【記事】株式会社エフエイオープン
【顧問】藤平 實(ふじひらみのる)